発達障害ライフ

発達障害当事者が体験や得た知識を書いていきます

発達障害の特性による困りごとの対策

・過集中


発生しているときは周囲の音・声などをあまり認識できなくなってしまいますが、過集中が発生している媒体や、超近距離での音・声は反応しやすいので、携帯電話や目覚まし時計を近くに置き、過集中を停止したい時間に合わせてアラームをセットしておくと良いです。


また、寝る前などに何か作業を行ってしまうと高確率で過集中が発生してしまうため、
「今過集中が発生したらまずいことになりそうな時」
は、すぐに終るような作業だけに留めておきましょう。

 

・誤認&ミスの多さ


「自覚と工夫改善について」の項目で、他人の目というフィルターをかけるという対策を書きましたが、フィルターによって抑制できるものへの対策はそれで良いです。
また、一人でもできる対策では個人的な事務職での体験ですが、Excelでミスをチェックする関数を組んでおき、それを活用しながらデータを打ち込む作業をすると、かなりミスを防止できました。

 

しかし、ミスや誤認が発生した時点で取り返しのつかないことになるものがあります。


「1ミスが人や動物の命に関わる仕事」

「株などの取引」がそうで、
こういうミスが取り返しのつかない仕事は避けましょう。


どれだけ気をつけても、脳の特性上防ぎきることは限りなく難しいため、興味関心や知識があったとしても、特性的にはあまりにも不向きです。
ミスをしてもフォローが効く、取り返しのつく業務が望ましいです。

 

・コミュニケーション力の不足


対人はパターンが膨大すぎて対策や工夫もケースバイケースなので難しいのですが、対人トラブルを減らす手段として実感したのは、「他人に価値観を押し付けない」ことです。
私達発達障害当事者にとっての「普通」は、常人にとっての「普通」ではないのです。

 

なので、他人は自分達とは感じ方も考え方も、物事への適性も全く異なるということを頭に置きましょう。
そうすることで、「自分がこう感じるのだから他人も同じはず」という押し付けでトラブルになることもないし、こちらの言動に対して他人が何故怒るのかわからないといった理解に苦しむことがあっても、他人は自分とは違うから、「よくわからないけどその人はそういうものなんだな」と解釈して、違いを認める事です。
「自分はできるけど他人はできない」「自分は平気だけど他人は嫌がる」などもそうですし、逆もしかりです。

 

世の中には理解できないことや共感できないこともたくさんあります。しかし、「そういうふうにできている」のだから仕方ないのです。
他人との価値観や感じ方の違いもまた同じことで、「他人とはそういうもの」だと解釈しましょう。


また、ADHDの場合は他人に話しかけるのはわりとできる方が多いのですが、アスペルガーの場合は中々それが難しく、自ら声をかけるのが苦手です。
もし当事者と出会ったら、なるべく会話しやすいように興味のありそうな話を積極的に振ってあげたりして、話しやすいよう誘導してあげるとコミュニケーションが取りやすいです。
興味関心に一致するものならたいへんよくしゃべれますので、そのあたりが両極端なのがアスペルガーです。

 

・忘れっぽさ対策


発達障害当事者に多い、忘れ物やうっかり忘れ。約束忘れや時間の勘違いも起きえます。
過集中対策の項目でも挙げましたが、スケジュール管理にも携帯などでのアラームやカレンダー機能が効果的です。携帯などのように常に手元に置いておくものに書き込んでおくのです。


また、
モノを置く場所をそれぞれどこに置くか固定したり、
カテゴリごとに紙に書いて目につく場所に貼っておいたり、
引き出しなどにも「何をしまってある場所なのか」を書いた紙・シールを使いましょう。


自分は、財布のように無くすとシャレにならない物は、常にいつも同じカバンの中に入れています。


こうすることで無くす可能性を減らしているのです。

 

片づけが苦手なADHD特性が強い人は、なるべく物を出さない・増やさない・動かさない工夫も効果的です。


ここに衝動買いの特性も加わると部屋がたいへんなことになるコンボが発生しますので、衝動買い対策にも「必要以上の現金を持ち歩かない、クレジットカードを持たない」が必要です。
最低限必要なお金以外は、定期預金にしてしまうか封筒にでも入れて別の場所にしまっておきましょう。
手元になければ使うことはできないわけです。
通販の後払いや着払いという抜け道もあるため、通販での買い物もなるべく縛った方が良いです。

発達障害の自覚と工夫改善について

一般的に、発達障害というとマイナスなイメージを持っている人たちもいます。親族や友人、同級生や同僚などの身近な人間に当事者がいて、発達障害者の障害の特性により迷惑をかけられてしまって嫌悪しているという方も少なくはないです。

 

しかし、多くの場合は迷惑をかけている本人に発達障害の自覚がなかったり、開き直って自己中心的な行動で周囲に迷惑を振りまいているケースが大半です。


しっかりと自身の持つ発達障害を認識・自覚・理解をして工夫と改善を試みていくことで、他人への迷惑は大きく緩和することができます。脳の障害なので完全に修正することはできませんが、やるとやらないでは大違いです。


悲しいことに、これをしない無自覚や自己中な当事者の行いによって真面目に工夫や改善を試みている当事者までが悪く見られてしまうことが多いのです。

 

 

アスペルガーなのかADHDなのかにもよって特性が異なり、工夫も改善もやり方が違います。
また、2つとも併発している複合型や、部分的には該当しない特性のある方もいます。解説本や解説サイトに書かれている特性一覧と、自分の症状を見比べて該当するもの一つ一つへ工夫と改善を考えていくと良いでしょう。

 

どちらの種類でも共通の特性は、ミスの多さや空気の読めなさです。

 

ミスの多さは、ミス発生時に何度見直しをしても自身が錯覚的な誤認をしてしまっていてミスをしていることそのものに気付けないことがあるので、他人の目を通してもらい、柔らかい言い方で指摘してもらうのが一番効果的です。


これを、自分は「フィルターを通す」という言い方をしています。


他人の目というフィルターを通してもらうわけです。

 

例えば書類を作成した後、提出する前に身近な人に一度目を通してもらい、間違いの部分を見つけてもらって修正してから出す。


自分では間違いが無いと思っていても、発達障害があるとけっこうな確率でミスしているので自分自身では発見できないミスでも他人の目だとよく見つかります。
仕事でも宿題でも同じですし、生活の中でも様々な面で可能な工夫です。

 

 

空気を読めない点については、発達障害当事者は、具体的にどの言動がどういけないのか自分自身では判断がつかないものが多いため、察したり自ら気付くのは難しいです。


そこで他人からの指摘が必要なのですが、指摘する側の言い方に棘があったり、具体的ではない曖昧な指摘ではまるで効果が無いので、指摘する人は柔らかい言い方でフォローを加えつつ、具体的な指摘をすると良いでしょう。


そして、ただ指摘するだけではなく、何故いけなかったのか、次からは同じ局面でどうしたらいいか、失言してしまった内容の代わりにどういう発言にするのが良いのかを伝えましょう。


家族との関係が悪い人や、信頼できる友人がいない場合は、言動やその場面を紙に詳しく書いて、主治医やカウンセラーに見せるのもいいでしょう。


発達障害を持っていても、そのようにして教われば理解できますし、本人に改善の気持ちがあれば、何度か失敗はしますが徐々に目に見えて変化が起きていきます。

 

コミュニケーションというのはパターンがあまりに膨大なので失言が発生する回数も当然多いため、面倒でも一つずつ教えていくのが近道であり本人のためにも周囲の人間のためにもなることです。

雇用の選択肢、クローズとオープンとは

発達障害当事者の就労はクローズ(障害があると告知せず隠して一般枠で働く)とオープン(障害を会社に告知して、理解と配慮を受けながら障害者枠で働く)があります。

 

それぞれのメリットとデメリットを挙げると、

 

クローズのメリット
・同僚に発達障害があるとバレにくい、偏見の目で見られずに済む。
・一般枠なので給料が人並みにもらえる。
・選択できる職の種類が多い。

 

クローズのデメリット
・健常者と同じレベルのスキルを要求されるため、発達障害の弱点(ミスが多い、動作が鈍い、コミュニケーション力が低い等)を許容されない。
・そのため、いくら真面目に仕事をしても不真面目なダメ社員のレッテルを貼られてしまう。
・結果、最低の評価をされいつまでたっても昇進昇給が見込めなかったり、最悪クビにされてしまう。

 

オープンのメリット
・障害の難点を配慮してもらえたり、心無い仕打ちを受けたりしにくい。
・会社側に国から大きな支援金が出るため、会社側にも利益が発生する。
・通院のために休むことを悪くとられにくいため、通院が必要な時に安心して休める。

 

オープンのデメリット
・一般枠に比べて選択できる職種が少ない。
・一般枠より給料が安い仕事がほとんど。
・よほど能力が高くないと昇進昇給はあまり見込めない。
・戦力として期待されていないので、あまりやりがいのある仕事をまわされにくい。

 

おおよその傾向を書きましたが、それぞれこういった違いがありますので、ご自身の症状の度合いや、二次障害・環境においてどちらが良いか考え選択すると良いでしょう。


オープンの場合、障害者雇用での雇用なので、障害者手帳を取得しておく必要があります。障害者雇用は事務補助などの仕事がほとんどですが、プログラマーの求人もたまにあります。プログラミングのスキルを持っている場合は障害者雇用プログラマーの道を進むのも手段としてあります。プログラマーは事務補助よりはもらえる給料が多いようです。

発達障害の診断をされた方へ

発達障害の診断をされた方へ。


発達障害にはアスペルガーADHDなどいくつかの種類がありますが、まずは

 

障害者手帳の申請をするかどうか

障害年金の申請をするかどうか

・通院や薬が継続して必要な場合、自立支援医療制度を受けるか否か


この3点が最初に悩むものになることが多いです。

 

障害者手帳は、国や県から様々な支援が受けられ、電車やバスの料金免除や美術館・博物館・水族館が半額になったり税金・NHK受信料の減額などもあったりします。県によってサービスの種類には少し違いがあります。
また、発達障害であることの証明や、障害者枠での就労にも使えますので抵抗がなければ申請することをオススメします。
不要になった場合は国へ返却することも可能なので、申請して発行されたからといっても、使うかどうかは自由です。

取得のためには主治医に診断書を書いてもらい、役所で手続きをする必要があります。

各役所や保険センター、またはご自身の主治医に相談してみると、詳細を教えてもらえたり、自分が取得可能かを知ることができます。

 障害年金は障害を持つ人へ国から定期的に数万の補助金が出ます。ただし、年金を支払っていることが前提です。

自立支援医療制度については、継続してかかる病院での負担額が緩和されます。

どちらも申請が通れば、基本的に損はありません。